【妖怪小噺】センポクカンポク

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僕が祖母の家に着いた時、先に到着していた両親が親戚と葬儀の準備に追われていた。

手伝えることもなく、祖母がいつも座っていた縁側の部屋で横になっていると、どこからか低いカエルの鳴き声が聞こえてきた。

グワァ。

鳴き声が聞こえた方を向くと、亡くなったはずの祖母が縁側に座っていた。
その後ろ姿に目が釘付けになる。

そこへ僕を呼びに来た両親がやってくると、縁側を見つめて、呆然と立ち尽くした。

「お義母さん…?」
母が驚きの声を漏らす。

祖母の目の前には、大きな大きなヒキガエルが一匹いた。
祖母が立ち上がり、微笑んで僕たちに会釈をする。

グワァ。

ヒキガエルが跳ね、祖母はその後を追って歩き出し、ふっと消えた。

「今の…」と父が呟く。「あのカエル、親父にそっくりだった...」

僕たちは言葉を失ったまま、ただ縁側を見つめていた。
ファンタジー
公開:24/12/11 17:36
更新:24/12/11 18:06
SF 妖怪 妖怪小噺

初川 鳳一

作品を読んでいただきありがとうございます!

最近色々な小説を読んでいたら、自分でも挑戦をしたくなりました!
ド初心者ですが、みなさんが楽しめるようなお話が書けるように頑張りますー!

「妖怪」の説話・由来などをもとにしたショートストーリー「妖怪小噺」シリーズを制作中!
妖怪・都市伝説・怪談などが好きです!お友達も募集しておりますので、ぜひ仲良くしてください!

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