サンタクロー酢とトナ貝

今年はおせちの注文数が少ない…それに気付いた俺は部下にサンタクロー酢を飲ませる。
おせちの注文票をプレゼントとして持たせ、部下を送り出した。
部下がいなくなったところで俺はトナ貝を焼き始める。
それを上司達にも振る舞った。年齢的に肉が辛いと話す社長も、貝であるこれなら美味い美味いと喜んでくれた。
サンタクロー酢とトナ貝。この二つは俺に出世街道への切符をくれるものだと信じて疑わなかった。

サンタクロー酢の効果か、おせちには大量の注文が入った。
あとはこれを運ぶだけ。それも部下にやらせようとすると「それはトナ貝を食べた者の役目ですよ」と返される。
今年の大晦日。俺と上司達はあまりの忙しさに貝みたくブクブクと泡を吹きながらも何とかおせちを運びきった。

年明け早々、俺は社長直々にクビを宣言された。
その上、俺のこの失敗談はトナカイの頭部のはく製の如く、ずっと人目につく場所に飾られるのであった。