手紙

２月３日。地獄で働く鬼たちは現世へとやってきて、豆をぶつけられる。
この日は節分。意外かもしれないが、これも鬼の仕事の内である。
鬼は各家々を回る中で手紙を渡される。
日本では子が親より先に死ねば地獄に落ちると言われている。それが幼子であれば賽の河原で石積みをさせられると言われている。
故に先に亡くなった我が子にどうか手紙を渡して欲しいと言ってくる親は少なくない。
鬼は手紙を預かると責任をもってそれを子どもへと渡す。
手紙を渡された子は自身が死して尚、親に愛されている事を知り、早く生まれ変われるようにと石積みに精を出す。
だが時折、手紙の中に三途の川の渡し賃を忍ばせておく親もいる。
これは違反行為である。故に手紙の中から見つかったお金は全て没収される。
そのお金はどうするのかって？
賽の河原にはまだ文字も読めぬままにやってきた子も一定数いる。
そんな子ども達の教育の場を設ける為に使われる。