僕はサンタクロース

高校生になってバイトを始めた僕。毎年１２月２４日はサンタの恰好をして店に立つ。
最初はコスプレ感満載で、この格好を少し恥ずかしくも思っていたが１０年以上毎年サンタの恰好をしていると段々慣れてくる。
まだアラサーなのに子ども達はサンタの恰好をしている僕を「サンタクロースのお爺さん」と呼ぶ。それが嬉しくもあった。
この子たちは普段僕を「店員のお兄さん」と呼ぶ。まさか僕がサンタクロースだとは思うまい。
そんな僕のもとにある日、サンタクロースとして正式採用する、と書かれた手紙が届いた。
昔は殆どのお父さんやお母さんが持っていたこの資格も、今は不景気やSNSの影響で持っている人も減ってきたという…
そもそもこの資格を貰ったところで、何か得するような事もない。
履歴書に書けるわけでも、就職に有利にもならない。
ただ、子どもの笑顔と幸せを間近で見守る事ができるだけ。
それだけの資格だけど、それで十分だ。