疑問符

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 突如暗雲が立ちこめ、風が吹き嵐となり、その嵐とともに、超巨大な疑問符が水平線から現れ、小国の海辺の町を襲う。
 疑問符は建物をなぎ倒し首都へ向かっていく。
 人々は逃げまどいながら、疑問符の発する妖気にあてられ、自らが発する全ての言葉の語尾に疑問符がついてしまうことに恐れおののく。
 愚鈍な政府はようやく指示を出し、軍隊が出動する。
 疑問符は首都の中心部まで迫っている。
 戦車から砲弾が発射され疑問符に当たる。
 砲弾が当たった箇所がぼろぼろと崩れる。
 それを見た上層部の指示により次々と砲弾が発射され、疑問符は崩れていく。
 そしてついに全てが崩れ落ちる。
 土煙が晴れたその場所に軍隊が向かうと、小さな感嘆符が宙に浮かんでいて、光とともに天に昇っていく。
 長い年月の後、軍部はこの出来事をプロパガンダに利用し、政権を掌握する。
SF
公開:24/12/12 21:48

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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