両手に半額シールを貼った女

俺は今日の婚活ダンスパーティで両手に半額シールを貼った女に目を奪われた。
嘲笑の的となっている女に誰も近付かない。俺だけが女に声をかけ、半額シールの理由を聞いた。
「これは多くの方に、お手に取って欲しいとの親しみやすさを表したものですわ」
学歴・職業・収入・家柄。それらでマウントを取り合うこの場にあって、女はあえて庶民的なところを見せて来た。そのギャップに心を打たれる。
俺は女の手を取った。今日は婚活ダンスパーティ。踊りに誘うは自然な流れだ。
女のダンスに派手さはなかった。だが自己主張せず、俺を支えてくれる動きに俺はこの人に人生の半分を預けたいと思ってしまった。
ダンスのパートナーから人生のパートナーへ。
だが俺の告白は断られた。
「私、安い女じゃないの。この半額シール同様、女の言葉を額面通りに受け取ってはだめよ」
大人な魅力に骨抜きにされた俺。両手に半額シールを貼り、女に手を差し出した。