ショートカット

彼女との初デート。スマートで出来る男を見せたくて、デートプランを考え、お店を予約し、サプライズも用意する。
何度もイメトレをした。下見もした。でも、失敗した。
分刻みのデートプラン。予定通りに進まず焦ってあたふたしてしまう。
予約したお店は、他にも予約客が多くて暫く待たされた。
その時、トイレに席を立った拍子にサプライズで用意していたプレゼントの存在もバレてしまった。
もうダメダメだ…そんな落ち込む僕の手を彼女が掴む。
「この先にね、私のお気に入りの店があるの」
僕を引っ張ってくれる彼女。そのお店もラストオーダーの時間が迫っているらしく走り出す。
僕は彼女を抱きあげた。その靴で走るのは危険だ。
そうして店に到着するや、彼女をお姫様抱っこした僕を見て目を丸くした店主にこう言われた。
「おやおや。お姫様と王子様のご入店だ」
僕も彼女も赤くなる。失敗続きだった今日。それでも距離はぐっと縮まった。