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ムカつくほどにいきいきと、予槽の中を【不合格】が泳いでいる。

表紙の色褪せた赤本、書き込みだらけの参考書、水濡れでしわしわになった単語カード…。机に散乱するそれらを少しのけて、冷めてしまったコーヒーに口をつける。

ふぅ…。

物事をネガティブに考えがちな私を鍛えるため、母がプレゼントしてくれた予槽。この中を伸び伸びと泳いでいる不合格は、飼い主である私の予想。

…今のままじゃ駄目だ!

迫りくる試験の日まで、私は毎日数々の問題と予槽の不合格に夜遅くまで向き合い続ける。

毎日、毎日、毎日…

赤本も参考書も単語カードも、全部私の匂いが染みこんだ。
予槽の不合格は動きが鈍くなっていき、体をムズムズとする日が増えた。



試験当日。
予槽に手を突っ込み、脱皮を終えた【合格】を掴む。
手の中に感じる、合格の確かな鼓動。

……よしっ!

立派に育てた合格を懐へしまい、いざ、試験会場へ!!
青春
公開:24/12/04 13:00
頑張れ!

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

作品を開いてくださりありがとうございました~。
もし気が向いたら、また遊びに来てください♪

 

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