4
4
暑い寒いは当たり前、時に雨どころか槍も降り、順調そうに見えた道のりに落とし穴が現れたこともある。とにかくひと筋縄ではいかない長く険しい旅だった。
そんな旅もようやく終わりを告げる。山の頂上に張られたテントが見えてきたからだ。
俺はくたびれた腕をようやっと持ち上げて、テントの下にいる人間に向かって声をかけた。
「こんちは! おつかれさんです!」
近づいてみると、相手は俺よりだいぶ年上の爺さまだった。爺さまは人好きのする笑顔で言った。
「ここまで大変だったでしょうに、元気ですなぁ」
「とんでもない、何度泣き言をこぼしたことか。もう上り坂はこりごりですわ」
「安心なさい。ここからは下る一方です」
爺さまは俺が差し出した人生カードに、チェックポイントに到達した証である印鑑を押して続けた。「旅はまだこれからですよ。年寄りには年寄りの役割がありますからな」
俺は深くうなづき、今度はゆっくり歩き出した。
そんな旅もようやく終わりを告げる。山の頂上に張られたテントが見えてきたからだ。
俺はくたびれた腕をようやっと持ち上げて、テントの下にいる人間に向かって声をかけた。
「こんちは! おつかれさんです!」
近づいてみると、相手は俺よりだいぶ年上の爺さまだった。爺さまは人好きのする笑顔で言った。
「ここまで大変だったでしょうに、元気ですなぁ」
「とんでもない、何度泣き言をこぼしたことか。もう上り坂はこりごりですわ」
「安心なさい。ここからは下る一方です」
爺さまは俺が差し出した人生カードに、チェックポイントに到達した証である印鑑を押して続けた。「旅はまだこれからですよ。年寄りには年寄りの役割がありますからな」
俺は深くうなづき、今度はゆっくり歩き出した。
その他
公開:24/12/07 19:47
更新:24/12/07 20:30
更新:24/12/07 20:30
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
イラストはibisPaintを使っています。
ログインするとコメントを投稿できます