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近道厳禁。それが私の住む町の掟です。
私の住む町は碁盤の目のように家が立ち並び、さらに全ての家が同じ作りをしているので一見しただけでは見分けがつきません。
分かれ道は丁字路か十字路。方向感覚まで狂わせるそれは町に住み慣れた者でも惑わされます。
それでもまだ昼の内はマシです。家の差異に気がつく事が出来れば、知った道へと戻れます。まだ近道も可能です。
しかしそれが夜になれば、町はその顔を変えてしまいます。家の差異に気付けず、曲がり角を一つ間違えるだけで元の道へは戻れません。そんな中、近道をしようものなら、どうなってしまうのやら…
そうして私はここに辿り着いてしまいました。驚きました。今は２０２４年なんですね。
まさか未来への近道があるとは知りませんでした。
私はこれから元来た道を戻ろうと思います。それで過去へと戻れるかどうかは分かりませんが、今より先の未来を見に行くのも悪くないと思っています。