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わたしは自他ともにみとめる心配症だ。そういう自分を変えたいと常日頃思い悩んでいる。

先日、いったんなにもかも忘れ、目的のない旅に向かえば楽になるのではと考え、財布とスマートフォンだけ持って家をでた。
ところがすぐに、出先で雨に降られれば傘がいるだろうと思い立ち、家に舞い戻ってしまった。そして、小腹が空いたときのためにせんべいひと袋も欲しい、もし電車に乗ったとき隣の子供がぐずりだしたらあやすための折り紙があったら便利だろう、いい温泉を見つけたら入りたいから着替えも準備しておこう、意外と長丁場になるやもしれんのでスマートフォンの充電器も必要だと、買って満足していた山登り用のリュックサックに荷物を詰め込んでみたらげんなりして昼寝をはじめてしまい、妻に呆れられた。

人生百年時代。あと二十年もこんな生活を続けるのだろうかと、すっかり寂しくなってしまった頭髪を撫でながらため息をついている。
その他
公開:24/11/30 11:00

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。

清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選

ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)

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