ブラックサンタの贈り物

「この肉を食え。そうすれば、お前の欲しいものは何でも手に入る」
黒いサンタの言葉に、私は迷いなく肉を口にした。
翌朝から私の世界は様変わりした。
無能だった私が多能を手に入れ、全能になった。全ては私の思うがままだ！
それでもまだ足りない。全能であっても全知ではない。この身体は死をまだ克服していない。
だから私は求めた。黒いサンタに貰ったあの肉を。
ひたひたと足音が聞こえる。振り返ると肉塊に手足の生えたような不気味な生き物がそこに立っていた。
肉塊は私に手を伸ばす。
私も肉塊に手を伸ばす。
私はそれの肉が、黒いサンタに貰った肉だと確信があった。
肉塊…ぬっぺふほふという名の妖怪が私を取り込んでいく。
不安も恐怖もない。だってこの肉は全知全能不老不死。私の欲しい全てが詰まっている。
だから絶対に渡さない。もし、私からこの肉を奪おうというのなら、その奪った奴の全てをこの肉塊の中に閉じ込めてやる。