終わりの映画館

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たった今、最後の上映が終わった。


「どうでしたか?」支配人らしき男が出迎える。

「そうだなぁ、あまり人に言えたもんじゃ無かったな。戦争もあったし。でもまあ、最期にゃ丁度いいんじゃねえかな。これでアンタもお役御免だろ?」と、出てきた男が言う。

「そうですね、長い間様々なお客様をお迎えし、上映して参りましたが、本日が最後に」支配人は少し寂しそうに言う。

「アンタもご苦労さんだな。こうして死人に自分の人生を見せてたんだろ?走馬灯ってやつ。最近の奴らは見てられなかったろ」男が自嘲して言う。

「そうですね。皆さん、目も当てられないほどの人生をお持ちでした。でも貴方は、どんな凄惨な人生でも強かった」支配人は笑う。

「そりゃ俺だからな、当然だ。」男も自慢げに笑うと、支配人に礼を言い、劇場を出た。その直後、劇場はさっと、砂のように崩れて行った。



西暦20XX年。人類は滅亡した。
SF
公開:24/12/03 16:33

ちむ( 愛媛県 )

文を書くことにハマり、最近活動を始めたひよっこ高校生です。お手柔らかにお願いします。

近況報告です!
長らく投稿をお待たせしてしまっていてすみません…ペンが(頭が)絶不調に陥っていまして中々「コレだ!」という作品が書けず…抜け出し次第投稿しますのでゆる〜くお待ちくださいませ!

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