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 駅の南口に、精悍した顔の女子高生がいた。見ていて痛々しい、それでいてどこか惹きつけられる女子高生だった。今思えば、一目惚れだった。彼女は雨空を見て泣き出した。人が多くいるが誰一人として声をかけない。彼女の叫びが聞こえた気がして、通り過ぎる訳にはいかなかった。どんな声をかけたかは忘れた。けど彼女は笑顔で帰って行った事は覚えている。太陽のような笑顔だった。少し救われたんだ。彼女の笑顔に。

 それから彼女とは出会えなかった。引っ越したのかなぁ。と思う。だって、この街を去る時に、思い出が溢れて泣いていたというのが辻褄が合うから。もう一度彼女に会いたいな。あの笑顔が忘れられず、僕は15年経った今でも独り身だ。この話をすると、忘れろとか引きずるなとか言われる。けれど、忘れられないし引きずっていたいのだ。僕の幸せを他人にとやかく言われる筋合いはない。彼女がどこかで幸せだったらいいな。
青春
公開:24/12/02 19:46

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