僕はわるい子

家族や先生の前では笑顔を浮かべ、大丈夫、と答える。本当は辛いのに平気で嘘を吐く。
今だって胸が苦しい。ナースコールを押して、すぐに助けを呼んだ方がいいのは分かっている。
だけど僕は押さない。心臓に病気のある僕はいつ死んでもおかしくない。なら、今死んでも構わない。
だって今夜はクリスマス。皆の迷惑になりたくない…
「くだらねぇ」
顔を上げると怖い顔をした黒いサンタがいた。
「お前は最悪に悪い子だ。こんなにも皆に愛されてるのに、それを自覚できないばかりか死のうとしている」
黒いサンタは袋から何かを取り出すとそれを僕の手元に置いた。とても生臭い…
「俺はブラックサンタだからな。お前の嫌がる事をしてやる」
黒いサンタはナースコールを押し、去って行った。
入れ替わるように先生達がやってくる。
先生は苦しむ僕と、僕の手元に僕に適合する心臓がある事に驚いていた。
すぐに手術が始まる。長い夜になりそうだ…