死出の恋
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この女には昔から死期が近い男ばかりを好きになる奇癖がある。
「なあ、一緒に死んでくれよ。構わないだろ? 君はいつも生きる事が退屈で仕方ないという顔をしているんだから」
枯れ木のような病人の手を女は邪険に払い除けた。
「嫌よ、私は別にあなたの事が好きで一緒にいるわけじゃないんだから」
「それじゃ、なんで俺の傍にいるんだ?」
「それが自分でも分からないのよ」
数年後、女は大病を患い、死の床で最期を迎えようとしていた。
数多の死ぬ行く男達の手を振り払ってきた報いなのだろうか、女を看取ろうとする者は一人としていなかった。
――いや、そうではない。女は朦朧とする意識の中、自分の枕元に黒装束の男が立っているのを認めた。女の目に涙が溢れた。
「そうか、私が男達から離れられなかったのは、いつも彼らの傍らにいるあなたに恋をしていたからなのね」
女は男から差し伸べられた手を今度は拒まなかった。
「なあ、一緒に死んでくれよ。構わないだろ? 君はいつも生きる事が退屈で仕方ないという顔をしているんだから」
枯れ木のような病人の手を女は邪険に払い除けた。
「嫌よ、私は別にあなたの事が好きで一緒にいるわけじゃないんだから」
「それじゃ、なんで俺の傍にいるんだ?」
「それが自分でも分からないのよ」
数年後、女は大病を患い、死の床で最期を迎えようとしていた。
数多の死ぬ行く男達の手を振り払ってきた報いなのだろうか、女を看取ろうとする者は一人としていなかった。
――いや、そうではない。女は朦朧とする意識の中、自分の枕元に黒装束の男が立っているのを認めた。女の目に涙が溢れた。
「そうか、私が男達から離れられなかったのは、いつも彼らの傍らにいるあなたに恋をしていたからなのね」
女は男から差し伸べられた手を今度は拒まなかった。
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公開:24/11/25 19:19
更新:24/11/26 23:05
更新:24/11/26 23:05
純愛ものを書きたいと夢見るお年頃
週一くらいで投稿したいです
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