獲物

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 明け方の病院の病室で、ひっそりと一人の男が死ぬ。
 男のベッドの枕元には千羽鶴が吊るされている。
 その千羽鶴の折り鶴たちの首が全て、男の遺体をじっと見ている。
 ガサガサと音がし始める。折り鶴たちが翼を動かしている。
 ふいに、一羽の折り鶴が自らに繋がっていた紐をちぎり、飛んでいき、男の遺体の上に着地する。
 そして男の遺体をくちばしでつついて食い始める。
 他の折り鶴たちが興奮して翼を激しく動かす。
 やがて紐があちこちでちぎれて、折り鶴たちが次々と男の遺体の上に飛んでいく。
 男の遺体が折り鶴に覆われる。そしてわずかな時間で、折り鶴たちは男の遺体を食い尽くす。
 折り鶴たちは次の遺体を探しに行くため、血で汚れた翼を広げる。
 その時、病室の扉が開かれる。
 折り鶴たちが目をやると、男の妻がオイルとライターを握りしめて立っている。
ホラー
公開:24/11/25 18:31

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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