交通違反のない町

その町、交通安全町では交通違反がゼロ。そもそも交通規則がないから当然ではある。国が認める特区の町には交通規則がない。信号も標識もない。車は走り放題、車線は自由。交差点で停止の必要はない。だから事故は起こるが、事故が起こっても警官は来ない。車が衝突しても車が人を轢いても、すぐに保険会社がやってきて和解金で解決する。しかし事故で死者が出た場合は刑事がやってくる。現場確認、精査の結果、事故であればあとは保険会社に任せ、故意にやったと認められれば逮捕される。故意か事故かの判定は精密を極め、加害者に殺意がみなされると極刑、つまり死刑に処される。うっかり事故だと主張しても潜在意識に殺意が認められると死刑である。
それで町民は車の運転には細心の注意を払い慎重になる。些細な事故があっても大きな事故はほとんどない。町に交通警官は不要になり、彼らは保険会社に天下りして些細な事故の後始末に走り回っているという。