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青年の頭の上をふわふわと白い松ぼっくりが転がる。

「もぉ〜、後で遊ぼうね」

青年が片手で長めの前髪をかきあげると、松ぼっくりはふわわと笑って作業台へゆっくりと降りていき、工具にモコ♪とじゃれつき始めた。青年の右肩に乗っている松ぼっくりもモココと跳ねる。

「ん~?もうすぐ」

青年は秋に拾い集めた鱗雲の破片をピンセットで摘むと、ぽかぽかな日向で練った琥珀色の糊で螺旋階段みたいに接着していき、納得のいく形になったところで秋風スプレーを吹きかけた。

「よっし!完璧」

包み込むようにした青年の両手から、鱗雲でできた松ぼっくりの【松ぼっくも】がふわぁ〜と産声をあげた。あまり知られていないが、秋は空から鱗雲の破片が落ちてくる。それらを集めて松ぼっくもを生み出し、育てて秋空へ帰すのがこの青年の仕事。

新しい家族の誕生を祝い、工房中の松ぼっくもたちがふわモコと踊る。

青年の手はいつも温かい。
ファンタジー
公開:24/11/28 19:10

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。

少し早いですが、よいお年を!

 

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