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「しーくん先生!怪盗マドレーヌ、今度は何を盗んだの?」
興奮気味に尋ねる私に、先生は人差し指を口元にたてて「しー」っとしてから病室の窓を指差した。
「夢ちゃん、あのビルのせいでお月様が見えないって言ってたでしょ?あそこから夜景を盗んだんだ」
美味しそうな名前の怪盗マドレースは、窓からの景色だけを盗む不思議な怪盗だ。盗まれると「あなたの景色、頂戴致しました」というカードが窓に貼りつき景色が消える。
「なんで窓の景色なんだろ?」
「そうだね」
先生はふっと笑うと、マントみたいな白衣を翻して病室から出ていった。
その夜、病室の窓をノックする音で目覚めてカーテンを開いた私は驚いた。遮るもののない夜空に大きな満月が浮かんでいるのだ。思わず窓を開ける。すると、いつも通りビルで欠けた月の浮かぶ風景の中に黒いマントを夜風に靡かせる人がいて、私と目が合うと「しー」っと口元へ人差し指を立てた。
興奮気味に尋ねる私に、先生は人差し指を口元にたてて「しー」っとしてから病室の窓を指差した。
「夢ちゃん、あのビルのせいでお月様が見えないって言ってたでしょ?あそこから夜景を盗んだんだ」
美味しそうな名前の怪盗マドレースは、窓からの景色だけを盗む不思議な怪盗だ。盗まれると「あなたの景色、頂戴致しました」というカードが窓に貼りつき景色が消える。
「なんで窓の景色なんだろ?」
「そうだね」
先生はふっと笑うと、マントみたいな白衣を翻して病室から出ていった。
その夜、病室の窓をノックする音で目覚めてカーテンを開いた私は驚いた。遮るもののない夜空に大きな満月が浮かんでいるのだ。思わず窓を開ける。すると、いつも通りビルで欠けた月の浮かぶ風景の中に黒いマントを夜風に靡かせる人がいて、私と目が合うと「しー」っと口元へ人差し指を立てた。
ファンタジー
公開:24/11/28 19:06
読んでくれてありがとう!
寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。
少し早いですが、よいお年を!
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