日陽師(びようし)

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「ずいぶん伸びましたねぇ」

煌めく漆黒を一房掬い、鏡越しに話しかける。

「そうなの〜。だから今年もお願いね♪」

私にそう伝えると、お客様は早速雑誌を手に取り読み始めた。もうだいぶ長い付き合いになるから、こうして私におまかせしてくれる。嬉しいことだ。

「こんなに艷やかな黒だと、もっと伸ばしたいなって思うことありませんか?」

「それはまぁ…。でも、私がお洒落の為に伸ばし続けたら困る人も多いだろうし、何より毎年こうしてあなたに短くしてもらえるのが楽しみだったりするの♪」

目を落としていた雑誌から顔を上げて、鏡越しに笑顔を向けるお客様に「ありがとうございます」と伝えてから、私は鋭く光る銀色の鋏を手に取り、小気味よい音を奏でながらゆっくりと丁寧に夜を切り始める。

今日は冬至。
長く伸びきった夜を短くしていき、夏至に美しいショートカットを完成させるのが日陽師(びようし)である私の役目だ。
ファンタジー
公開:24/11/28 19:05
更新:25/05/16 21:34
月の音色 ショートカット

花笑みの旅人( 気の向くまま )

ページを開いてくださり、ありがとうございました♪

6月12日〜6月末まで勝手にチャレンジしていた毎日投稿を無事達成することができたので7月から夏休みに入りま〜す(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)

ガーデンでは☆を押してくださったのがどなたかわからないシステムですが、そんな中☆を押してくださった方ありがとうございました!また、リアクション等されていなくとも作品を開き読んでくださった方がいらっしゃいましたとしたら、重ねて感謝申し上げます。貴重な時間を割いていただきありがとうございました!!

もちろん、いつも楽しいコメントをくれるあなたも心からありがとう♪
では、暫くばいばいぴょ〜ん!

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