空気を読むエアコン

　ママがパパをすごく怒っていた。クリスマスイブなのに飲んで遅く帰って来たからだ。喧嘩は深夜に治まった。

　サンタさんは来るのだろうか。

　心配で眠れない。二人がまだ寝てる間にベッドから抜け出して一階へ。

　エアコンのリモコンに
「ママの機嫌を直す」
と入力して朝六時にセットした。暗い部屋のエアコンに予約のサインが点灯した。

　朝六時、エアコンは室内の温度、湿度を完璧にした。

　次にママが触りそうな所、キッチンのシンク、ドアの取っ手、ママの履くスリッパを温めた。　　

　エアコンの名前はトウキチロウ。リモコンは私だけに仕える。

　ママとパパが起きてきた。

　エアコンは、気まずい空気を浄化した。

　私が遅れて下に行くと、朝食とクリスマスプレゼントと、両親の笑顔が準備されていた。

　そう、一階を統一するのは、私だ。