サンタクロースの妻

私の夫を一言で言い表すのなら「仕事人間」である。
元々子どもが好きだった夫。保育士になろうとしたものの、当時は男の保育士が社会的に求められていなかった。
そこで夫はサンタクロースとなった。大卒２２歳でサンタクロース。若すぎるその姿に「コンビニのアルバイトみたいだ」と笑われたそうだ。
だけど夫は「赤鼻のトナカイだって最初は笑いものだった」と言って、逆境を糧にした。その時夫が頑張ったからこそ、今や高卒サンタも増えてきた。
決して高給とは言えないサンタの仕事。だけど夫は愚痴一つこぼす事なく働き続けた。
夫に愚痴はないのだろうか？と聞くと「あるよ」と答えられる。
夫は愚痴をプレゼントとは別の袋の中に溜め込んでいた。
それを加工しブラックサンタに渡していた。愚痴は加工すると悪い子へのおしおきに使えるそうだ。
夫は私の愚痴も加工して、私の勤める会社の上司達にクリスマスの夜、プレゼントしているそうだ。