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玄関チャイムが鳴ったのでモニターで応対したら、どこかで会ったことがあるようなおばあちゃんが映った。おばあちゃんはいまいちフィットしない入れ歯と格闘しながらこう言った。
「私だよ、私、私」
なるほどこれは新手の詐欺だと直感した。既視感のあるお年寄りを派遣して、心の隙間に潜り込む作戦だろう。そうはさせまい。
「どちらの『私さん』ですか?」
「ワタスだよ。トスを取っファ……フガフガ」
おばあちゃんは外れた入れ歯をはめ直し、手で押さえながら言い直した。
「私は五十年後のあなただよ。将来こうなりたくなかったら、いますぐに歯医者へ行くんだ」
そういえば長らく放置している虫歯がいくつもある。治療がしんどくて通うのをやめてしまったのだ。
「ありがとう、未来の私。すぐ予約取るよ」
「ファフォンファフォ!」
おばあちゃんはたぶん、「頼んだよ!」と言い残し、安心したように帰っていった。
「私だよ、私、私」
なるほどこれは新手の詐欺だと直感した。既視感のあるお年寄りを派遣して、心の隙間に潜り込む作戦だろう。そうはさせまい。
「どちらの『私さん』ですか?」
「ワタスだよ。トスを取っファ……フガフガ」
おばあちゃんは外れた入れ歯をはめ直し、手で押さえながら言い直した。
「私は五十年後のあなただよ。将来こうなりたくなかったら、いますぐに歯医者へ行くんだ」
そういえば長らく放置している虫歯がいくつもある。治療がしんどくて通うのをやめてしまったのだ。
「ありがとう、未来の私。すぐ予約取るよ」
「ファフォンファフォ!」
おばあちゃんはたぶん、「頼んだよ!」と言い残し、安心したように帰っていった。
ファンタジー
公開:24/11/18 09:21
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)
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