狐火と沼

2
3

昭和の終わりころの出来事です。
良治さんは、カメラにハマっていました。最新型の一眼レフで、あるものを撮ろうと考えました。
それは“狐火”です。

良治さんの家の裏手には、田んぼ、雑草の生えた湿地、そして沼があります。狐火はむこうの山のあたりに出ます。
狐火は、遠くに灯りがともり、それがパッといくつかに並び、また1つになり、ゆっくり列になったりして進みます。
それを写真に撮り、雑誌に売り込もうと思いました。

ある夜、遠くに狐火が出ました。彼はカメラを持ち、湿地を歩きました。すると「ボフッ」と両方の足首が、地面にめり込んで、もがいても、抜けません。体が少しずつ、沈みます。
彼は金儲けを考えたことを後悔しました。すると、体の沈みが止まりました。

狐火が1つになって、こちらに近づいてきます。それは提灯を持った村の人でした。
助けられて、良治さんはつぶやきました。
「沼の怖さを、知りましたよ」
ファンタジー
公開:24/11/17 21:07
狐火 狐火は見たことあります

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容