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つめたい風が耳もとをかすめはじめたころ、転入生がやってきた。おしゃべりじょうずで、誰とでもすぐに打ち解けてしまうから、まもなく学校の人気者になった。

「寒太郎くんが登校してきました! 生徒のみなさんは校門から教室まで整列してください!」

生徒会長の放送でお出迎えの隊列が組まれ、昼休みになると今度は校庭に生徒全員が駆りだされる。というのも、寒太郎くんの大好きな屋外遊びで彼をもてなすためだ。今日は男子全員VS寒太郎くんのサッカー親善試合が行われている。もちろんスポーツ万能な寒太郎くんのひとり勝ちだ。

「ハハハッ! 楽しいねっ!」

彼が白い歯をみせて喜べば、見物している女子たちは前列からウェーブを描いて卒倒する。男子はちょっとだけ悔しそう。

春が来れば、寒太郎くんはまた転校してしまう。だから私は、芽生えた恋心をこころのなかにそっとしまい、軽快に走り回る彼の姿を目で追っている。
青春
公開:24/11/17 12:54
更新:24/11/17 12:57

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。

清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選

ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)

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