古家

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桜の花が散る頃、引越し荷物のトラックが出てしまうと、朝からの喧騒も消えてしまった。
一緒に付いて行きたかった家は、地面の君が僕の足を引っぱっていたから動けなかったじゃないかと怒っています。
俺はお前がここに出来てからずーと置いてあげていたのに、我々はここから動けないだよと言い返しました。
家に巣を作っていた鳥達も、この話を聞きながら気の毒になりました。
嘆いても仕方ないし、この家に新しく住むのに相応しい人を、夢みようじゃないか、きっと楽しい事だよ。
でもその後、周りには雑草が生え、それも枯れてしまったのに新しい住民は現れません。

或日、木枯らしの音と一緒に人の声がして、やっと人が入って来ました。
煉瓦造りの暖炉のある家をずーと夢みていたけど、遂に見つけられたぞと嬉しそうです。暖炉に残されていた薪に火を点けると煙突から、ぽかりと煙が出ました。
家も皆の気持ちも暖かくなりました
ファンタジー
公開:24/11/17 11:57

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