思い出
0
1
彼は中学の同窓会会場で、川辺香の事を懐かしく思い出していた。
当時の彼は、地味で根暗でガリ勉な香をいつも嘲弄していた。今考えると、それは自分だけが気付いている彼女の楚々とした魅力を、周囲の男子の目から隠したいが為の愚行だったのかもしれない。
「もしかして、村木君?」
声の方を見ると、モデルのような美女が立っている。
「君は…まさか、川辺さん?」
「そうよ。中学を卒業して以来ね、懐かしいわ」
見違えるように綺麗になったね――そう褒めようとした彼の目は、香の左手の薬指に嵌った指輪に吸い寄せられた。
「ああ、これ? 私、今は外資で働いているんだけど、そこの取引先の人とお付き合いしていて、来月結婚するの」
香は呆然とした彼の顔をじっと見据え、大輪の花が咲き誇るように美しく微笑んだ。
「さてと、気が済んだし、私はもう行くわ。じゃあね」
そして彼に背を向け、振り返らずに去って行った。
当時の彼は、地味で根暗でガリ勉な香をいつも嘲弄していた。今考えると、それは自分だけが気付いている彼女の楚々とした魅力を、周囲の男子の目から隠したいが為の愚行だったのかもしれない。
「もしかして、村木君?」
声の方を見ると、モデルのような美女が立っている。
「君は…まさか、川辺さん?」
「そうよ。中学を卒業して以来ね、懐かしいわ」
見違えるように綺麗になったね――そう褒めようとした彼の目は、香の左手の薬指に嵌った指輪に吸い寄せられた。
「ああ、これ? 私、今は外資で働いているんだけど、そこの取引先の人とお付き合いしていて、来月結婚するの」
香は呆然とした彼の顔をじっと見据え、大輪の花が咲き誇るように美しく微笑んだ。
「さてと、気が済んだし、私はもう行くわ。じゃあね」
そして彼に背を向け、振り返らずに去って行った。
青春
公開:24/11/20 20:43
更新:24/11/20 21:40
更新:24/11/20 21:40
純愛ものを書きたいと夢見るお年頃
週一くらいで投稿したいです
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます