世界に一つだけの葉

葉子をクリパに誘ったら「私よりもっと花のある女の子と行ったら？」と断られた。
俺は葉子にポインセチアという植物の話をする。
クリスマスによく見る観葉植物だ。多くの人はポインセチアの赤くて大きな葉っぱを見て花と勘違いする。ポインセチアの花はその葉っぱの奥にある小さな球体。それがポインセチアの花だと教えると驚く人が多い。
まあ…何が言いたいかって言うと、俺は花より花のある葉っぱが好きで、その魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいって思っている。
俺の説明に葉子はため息をついた。
「そこまで言うならクリパ、行ってあげる」
葉子の顔を見る。その頬はポインセチアみたく紅くなっていた。
ちなみにポインセチア同様にクリスマスローズも花に見える部分は植物学上、萼片と呼ばれる葉っぱの一種だ。
そのクリスマスローズ、多くの品種が冬ではなく春に花を咲かせる。
俺も来年の春には、葉子との恋を開花させるつもりだ。