手紙

息子が学校から早く帰ってきた。てっきり今日もサッカーの練習で遅くなると思っていたので少し驚く。
「仲間とケンカした」
話を聞くとチームメイトと言い争いになって部室を飛び出してきたという。
息子は昔から頑固なところがあるからなぁ…
そんな息子に私は冷凍手紙を解凍し、差し出した。
温めたばかりだから熱々。息子はそれに手を伸ばすと自身の考えを綴り始める。熱い思いを手紙に込める。
「…やっぱり部活、行ってくる」
手紙を手に、家を出る息子。時間が経ち、その頭も少しは冷めたのだろう。
手紙に綴った熱い思い。皆に届くといいね。息子の背中にエールを送った。
息子を見送った後、私は別居中の夫からの手紙を読み、鼻で笑う。
便箋を取り、夫に手紙を書く。書き上がったそれは冷凍庫に入れ、明日にでも出すとしよう。
熱く復縁を求めてくる浮気者の夫に対し、私は冷凍ブロック肉より冷たく硬い意思を手紙に込めて送り返した。