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玄関のチャイムを鳴らすと、女性がドアを開けた。目の前の男を見て疑わしげな顔をした。
「どちら様ですか?」 
「おたくの亭主が酔っ払って道で寝てたんでね、運んできたんですよ」
彼女は驚き、申し訳なさそうに頭を下げた。
「他人の家のことに口出しするのもなんですがね」と男は長々と説教を始めた。彼女は俯き、時折「すみません」と呟くだけだった。
そのとき、男の背後から声がした。
「ただいま。こちらは?」
「あなた?…酔っ払ってないわよね?」
「ああ。それより、家の外に酔っ払いが倒れていたが」
「おっと、家を間違えました」
慌てて家を出ると、酔っ払いを起こし、本当の家を訪ねた。
ノックをすると年配の女性が出てきた。
「こちらの奥さんですか?」
「いいえ、この家の人は警察ですよ。この家のご主人が酒に酔って川に落ちて亡くなって…」
男が振り返ると、そこには誰もいなかった。ただ小さな水溜まりができていた。
ホラー
公開:24/11/12 17:57

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