あの日あの子あの線香花火

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あの子と一緒に公園で花火大会をした。

びゅーって先っぽから、みどりやピンクが出る花火。
ぐるぐる回ってどこに行くか、わからないねずみ花火。
ロケット花火はうるさいからやめようってあの子と決めた。

あの子は線香花火が好き。火をつけて、一緒に見てた。
花火セットにいっぱいあった線香花火、すぐなくなった。
最後の線香花火、落ちないで、消えないで。
あの子と僕だけの時間、終わってほしくないと思ったから。

寒くなる頃、あの子が入院したってママから聞いた。
普段から、よくコホンコホンしてたから。

しばらくして、幼稚園の服を着て、ママとパパとあの子の写真を見に行った。
たくさんの人が来てた。みんなみんな、悲しそうな顔。

今年の夏はあの子のいない花火大会。
でも、僕は見た。誰もいないのに、宙に浮く線香花火。
あの子も来てた。やっぱり線香花火好きなんだね。
僕はあの子のことが好き。もう遅いけど。
ファンタジー
公開:24/11/11 20:55
更新:24/11/11 20:56
SF 花火 青春

初川 鳳一

作品を読んでいただきありがとうございます!

最近色々な小説を読んでいたら、自分でも挑戦をしたくなりました!
ド初心者ですが、みなさんが楽しめるようなお話が書けるように頑張りますー!

「妖怪」の説話・由来などをもとにしたショートストーリー「妖怪小噺」シリーズを制作中!
妖怪・都市伝説・怪談などが好きです!お友達も募集しておりますので、ぜひ仲良くしてください!

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