七十五十三十

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神社の境内に集まった人々の中、私は声をかけられた。
「やぁ、田中君。君ももう三十歳か」

話しかけてきた男性に頭を下げる。
「あ、係長!はい、おかげさまで無事に迎えました」

係長はうなずきながら返す。
「私もやっと七十歳。事故もケガもなくここまで来られてありがたいね」
「係長もまだまだ若いですからね」

やがて神社の舞台に宮司が現れ、厳かに祝詞を唱え始めた。
その後、宮司は満面の笑みを浮かべて言った。
「本日はご参拝いただき誠にありがとうございます。薬神様へのご祈祷が完了しました」

宮司は人々を見回して続ける。
「皆様ご存知の通り、世界の平均寿命は五百を超えました。
これも、細胞の老化を遅らせ、すべての病を完治させる方法を発明した須加原路真医師のおかげです。
当神社は須加原様を薬神様としてお祀りしています。しかし事故やケガはどうにもなりません。
今後もご自身を大切にお過ごしください」
SF
公開:24/11/10 22:59

初川 鳳一

作品を読んでいただきありがとうございます!

最近色々な小説を読んでいたら、自分でも挑戦をしたくなりました!
ド初心者ですが、みなさんが楽しめるようなお話が書けるように頑張りますー!

「妖怪」の説話・由来などをもとにしたショートストーリー「妖怪小噺」シリーズを制作中!
妖怪・都市伝説・怪談などが好きです!お友達も募集しておりますので、ぜひ仲良くしてください!

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