手紙

私の友人は転勤族で数カ月に１度、長くても２年に１度は引っ越しを行う。
スマホのない時代、引っ越す度に引っ越しを伝える手紙を書いていた友人だが、今となってはライン一つ寄越さない。
連絡を取るだけなら簡単な時代になったからだ。
それでも友人は私にだけは手紙を寄越してくれる。
友人はいつも、転勤先から絵葉書を送ってくれる。送られてくる風景は私の密かな楽しみでもある。
私もまた、友人に絵葉書を送り返す。故郷の絵葉書を友人も楽しんでいるようだ。
だが地元の絵葉書なんて数十種類もあるものではない。せいぜい数種類だ。
そこで私は地元の風景を撮影し、それを絵葉書にして送る。
１ヶ月前ラーメン屋だった店が今ではピザ屋になっている。そんな小さな変化を喜んでくれる友人。
次はどんな写真を撮って送ろうか？
それは文字を書くのと同じ、相手が喜ぶ顔を思い浮かべる言葉なき手紙。
今日撮った写真も喜んでくれるといいな。