0
4

 星屋さんの前を通りかかった。「セール品」と書かれたワゴンがあった。ちかちかと何かが光っているのが見える。
 ワゴンに近寄ると、セール品の惑星が無造作に積み上げられていて、その中に光を放っている星を見つけた。
「戦争してるのよ」
 いつの間にか星屋さんの奥さんが背後にいて、話しかけてきた。
「戦争してるから光ってるの」
 奥さんは微笑んでいた。その微笑みは、なつかしい思い出を思い出している人の微笑みだった。
「触ったら熱いですか」
 私は尋ねた。
「光っている部分を触らなければ大丈夫」
 でもその星はあちこちが光っていて、触れる場所がなかった。結局私はそのまま星屋さんを後にした。夜空を見上げると、星が光っていた。
ファンタジー
公開:24/11/06 22:01

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容