名画でショート031『The Fireside Angle』(マックス・エルンスト)

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キメラとは、複数の生物が合成された生物である。怪物として描かれることが多い。
教授は、だれもが楽しい気持ちになれるようなキメラを生み出そうと決意した。ピエロのようなキメラ。一緒に遊んでくれるキメラ。
教授は世界中からカラフルな生物を集め、自らを七色の肉体に作り替えた。人間のように両手両足を持つが、頭は馬と鳥の中間で、さらに右腕は半分翼のようになっている。
キメラは踊るように両手両足を踏み鳴らした。いつも笑顔で、楽しく、そして陽気に。
キメラになった教授は街を歩き始めた。だれもが親しみを持ち、そして世の中が少しでも明るくなりますようにと願いながら。
しばらくして、教授は警察官に取り囲まれていることに気が付いた。
どうしたんだい。ぼくは楽しいキメラだよ。みんなと明るくするキメラだよ。
教授が警察に向かって一歩踏み出したとき、一瞬の光芒とともに銃声が響いた。
その他
公開:24/11/01 22:52

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