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今夜は、柔らかに白く光る丸い切手のペタリと貼られた群青色の封筒が届いた。毎日変化する切手の形を眺めるのも、私の楽しみの一つだ。
この封筒の中には、人々のあらゆる願いの綴られた便箋が何枚も入っていて、文字から放たれる夢や希望の輝きが封筒の内側から外側まで零れ、白銀の粒を点描している。
目を細めて、愛しい小さな煌めきたちをそっと撫でてから、私は封をゆっくりと開ける。急に開けてはいけない。中に封じられている願いの輝きは、本当にとても眩しいのだから。一気に開けたら目が眩んでしまうよ。

ゆっくり、ゆっくり…

封筒が開いていく。
光が外へ抜け出していく。

ゆっくり、ゆっくり……

封筒を完全に開けきると辺りには光が満ち、その光の中へ封筒は溶けていった。
私は七色のフレームの丸眼鏡をかけてから、手元に残された曙色の便箋の束へ一枚一枚目を通す。

皆さんご存知でしたか?
これが夜明けなのですよ。
ファンタジー
公開:24/11/01 12:58
画像はゼリー

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。

 

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