天使の怒り

俺、天使。今日もビルの屋上から人間を観察する。
人間って奴は皆救いようのない愚か者だ。
今が楽しければなんでもいい。その考えで神が眠る祠まで壊してしまうんだ。本当にどうしようもない。
俺は人間が嫌いだ。何で信仰心の欠片もない奴らを助けなきゃならない？
他人が困っていても手を差し伸べないのに、自分が困っていると手を差し伸べてくれと叫ぶ。自分勝手にも程がある。
だが、そんな人間に手を差し伸べるからこそ天使と呼ばれるのだろう。
今、俺の視線の先には天使がいる。夜の暗がりに浮かぶ純白の羽は彼女が紛う方なき天使の証。
彼女は今も人に優しくして、傷ついた。これは同業者として助けなければ。
彼女の前に舞い降りた俺は手を差し出す。一緒に「ヘブンへと戻りませんか？」と。
彼女は「ナンパ？ちょっ！やめてください！」と俺から距離を取る。
ん？よく見るとその羽、作りものじゃないか。
ちっ…仮装か。このペテン師め。