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いつからか覚えていないのだが、家鳴りがひどくなった。飼い猫のチャーチャもひどく警戒し、家鳴りのピークを迎える真夜中の二時頃には、ずっと天井を見つめて威嚇している。
「チャーチャ、もういいから……」
なだめて落ち着かせるけど、どこかでギシギシッと鳴るなり、これでもかと目を見開き、またうなりだすのだから困ってしまう。
寝不足気味の頭脳で考えたのは、家鳴りの気持ちを聞きだす必要があるということだ。場合によっては、交渉して妥協点を見出せるかもしれない。私はさっそく目に見えない彼宛てに手紙を書き、クローゼットの上に置いて出勤した。返事は優美な筆文字で書きつけてあった。
「『本能故、いかなる制御も我には不可能也。やなりん』――君、やなりんていうのか……」
名前を聞いたら、正体不明の何者かが急に親しみやすいキャラクターに変わった。チャーチャと私は、その日の夜からよく眠れるようになった。
「チャーチャ、もういいから……」
なだめて落ち着かせるけど、どこかでギシギシッと鳴るなり、これでもかと目を見開き、またうなりだすのだから困ってしまう。
寝不足気味の頭脳で考えたのは、家鳴りの気持ちを聞きだす必要があるということだ。場合によっては、交渉して妥協点を見出せるかもしれない。私はさっそく目に見えない彼宛てに手紙を書き、クローゼットの上に置いて出勤した。返事は優美な筆文字で書きつけてあった。
「『本能故、いかなる制御も我には不可能也。やなりん』――君、やなりんていうのか……」
名前を聞いたら、正体不明の何者かが急に親しみやすいキャラクターに変わった。チャーチャと私は、その日の夜からよく眠れるようになった。
ファンタジー
公開:24/11/02 14:17
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)
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