天の彼方に

　神名子の彼だった星男は、半年前交通事故で帰らぬ人となった。神名子は未だに彼の事が忘れられず、何とかしてこの気持ちを星男に伝えたかった。
『今でも貴方の事を愛しています。いつか貴方のそばに行きます』
　そう書かれた手紙を、伝書鳩の足にくくりつけた。
「さあ、天国の星男さんの所に届けてね」
　伝書鳩は、神名子の手元から飛び立った。

　数日後、その伝書鳩は、恋愛成就で有名な神社の鳥居の下で亡くなっていた。
　手紙は神主の手により、弊殿の神棚に捧げられた。
　鳥居は神の道に通じる入り口。神名子の想いは天国に届いたのだろうか。

　そして半年後…神名子は白血病で、某病院に入院した。
「どうやら私の想いは天国に届いたのね。もうすぐ呼ばれるわ」

　さらに数週間後…神名子は天に召されていった…