手紙

私の息子は異世界で働いている。
ゲームの話ではないし、転生なんてものでもない。息子は今、ここではない世界で暮らしている。
運動も勉強も苦手で何の取り柄もなかった息子だが、この世界では使う事の出来ない魔法の才能があった。
息子は今、その才能を活かし異世界のエネルギー問題に着手している。生き生きとした様子が手紙から伝わってくる。
そう、手紙だ。息子のいる世界は電話が繋がらない。ネット環境がなく、メールも出来ない。
故に私と息子が連絡を取るには手紙という手段を取らざるを得ない。
息子の話によると異世界にもメールや電話はあるが、魔法の力で動くそれはこちらの技術との親和性がないらしい。
息子の手紙を読み、電話やメールと言ったものが改めて魔法じみたものだとあらためて気づかされる。
息子からの手紙には数枚の写真も同封されていた。
写真の中で動く息子を見てはスマホで動画を見ているみたいだと思ってしまった。