知らない人が知っている

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ボロアパートに住む俺は、先日、初めて隣人に会った。
短髪で無精ひげの小太りの男だった。

「はじめまして。隣に住んでいる〇〇です。挨拶が遅れてすみません。」
「よぉ、〇〇じゃないかぁ。元気だったか?」

俺とは初対面のはずだ。
だが、男は次々と俺のことを話し始める。

「□□ちゃんとうまくやってるかぁ?」
「山にゴミを捨てたらいかんぞ」
「この前探してた物は見つかったか?」
「あの時の夢、まだ見てるんだろ?」

□□は元カノだ。意味がわからない。
男の視線は俺を見ているようで、どこか遠くを見ている感じだ。
一切、話が噛み合わないまま、男は部屋に戻っていった。

翌日、再びその部屋を訪ねたが、何度ノックしても返事がない。
そこへ通りかかった大家に理由を伝えると、大家は一瞬怪訝な顔をした後、こう言った。

「君もここ長いだろ?その部屋はもう何年も空き部屋のままだよ?」
ホラー
公開:24/10/29 01:24
更新:24/10/29 01:53
ホラー 怖い話 不気味な話

初川 鳳一

作品を読んでいただきありがとうございます!

最近色々な小説を読んでいたら、自分でも挑戦をしたくなりました!
ド初心者ですが、みなさんが楽しめるようなお話が書けるように頑張りますー!

「妖怪」の説話・由来などをもとにしたショートストーリー「妖怪小噺」シリーズを制作中!
妖怪・都市伝説・怪談などが好きです!お友達も募集しておりますので、ぜひ仲良くしてください!

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