手紙

私はどんな相手にだって手紙を渡せる魔法使いの郵便配達員。
その力を使って現在過去未来、どんな相手にだって渡してきた。
ティラノサウルから宇宙人まで。サンタクロースだって問題ない。天国も地獄も関係ない。
「それじゃ、この手紙を手紙に渡して下さい」
今日の依頼人は手紙に感謝の気持ちを綴った手紙を書いたそうだ。
これはきっと手紙も喜ぶぞ～。折角だ。依頼人の目の前で手紙に手紙を送るところを見せた。
依頼人は大喜び。それからというもの、手紙に手紙を書いては私に送るよう言ってきた。
そうなってくると少し手紙に嫉妬する。毎日こうやって手紙を送っている私も一つくらい感謝の気持ちが綴られた手紙が欲しい。それは我が儘だろうか？
「貴方には毎日『ありがとう』を告げているでしょう。伝えたい相手が目の前にいるんだから口で言った方が早いでしょ」
手紙を見る。依頼人から直に感謝の気持ちを告げられている私に嫉妬していた。