電池交換師

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お話をしましょう。
この夜のように密やかな物語。

坊やが眠るまで。

この世界には電池交換師と言われる人がいるの。
電池交換師と言っても仕事ではないの。
電池交換師の人も、その時が来るまで自分が電池交換師である事を知らないわ。

だから密やかに囁かれていても、誰もどこに電池交換師が居るかは知らないの。

電池交換師は命を操る。
とてもとても危険な力。

それ故、もしも電池交換師を見分ける事が出来たなら、恐ろしい事が起こるでしょう。

でも心配いらないわ。
電池交換師はその時が来ない限り、本人も全く気づかないものなの。

電池交換師は電池を交換するの。

変えたい人の背中をそっと撫で、そこから電池を取り出し、自分の胸から電池を取り出して交換する。

「……だから変えたの?」
「そうよ、坊や。」

おやすみ、坊や。
朝日が私の目に映る事はなくとも、その光は坊やを暖かく照らしてくれるでしょう。
公開:24/10/31 20:45

ぽんず

ぽんずとかねぎとか薬味と調味料。
(たまに作品整理をします。整理したSSはNovelDays等にあります)
http://lit.link/misonegi

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