知己、嵐

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太陽フレアの影響で無線通信電話が使えないため、原点に還ったつもりで友人に糸電話を送った。本州の端同士に住んでいるけど、荷物は翌日の夜に届いた。

空にはオーロラのカーテン。紺色を背景に、赤く揺らめいている。窓際で鑑賞していたら、紙コップがフルフルと揺れだした。嘘みたいだけど、本当に電話になるらしい。私は純粋な感動を覚えながら耳に当てる。

「ハロー、ご機嫌いかが?」

想像していたよりずっとはっきり友人の声が聞こえてくる。私は高鳴る胸を抑えながら応答した。

「ご機嫌だよ。そちらは?」

「嵐だね」

「何ゆえに?」

「パートナーと喧嘩した。荒ぶる太陽のせいかも」

「大変。太陽を訴えないと」

いいね、と友人は大笑いする。きっと数日後には仲直りできるさ、と私たちは電話を切った。
SF
公開:24/05/14 09:00
太陽フレア 磁気嵐

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。

清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選

ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)

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