2
3

僕は人類の祖先を抹殺しに、16万年前に到着した。
タイムマシンの使用は、不可逆時間規定法により厳しく罰せられる。
だが、そんな罪は無いに等しい。片道切符だし、未来には行けない。
それに、人類は核戦争によりとっくに国家など成り立たない状態に陥っているのだから。
こんな悲惨な未来は、最初から無ければいいと思った。
これは大がかりな自殺だった。でも、到着して驚いた。




人類最初の祖先は、僕より数世代先から来た女性だったから。

彼女も、住んでいた時代に嫌気が差して
ここに来たらしい。
彼女は賢くて、僕の知らない知識を沢山持っていて、とても魅力的な女性だった。
それに、あんなにボロボロの世界が、まだ数世代も続いている事に驚嘆した。



人類はしぶとい、その事実が僕を楽観的に変えた。
だから似たもの同士、このまだ何も無い世界で、二人で暮らして行こうと思った。
SF
公開:24/05/13 02:21
更新:24/05/26 00:47

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容