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夜が来た。縁側に腰かけて星空を仰ぐ。二人並んでスプーンを持つ。今日も私と息子の「惑星破壊」が始まる。本日の破壊対象は木星と海王星。木星は私が、海王星は息子に任せることにした。息子はスプーンで大きなクレーターを次々作り、ブラックホールのような口で吸い込んでいく。どうやら海王星はブルーハワイ味で、破壊者の舌を冷たい青に染めていた。一方私が破壊する木星は苦味のあるアフォガート味だ。溶け始めて表面に渦が形成されている。ガス惑星だからか、いや己の食欲か。木星は瞬く間に私の手によって掻き消えた。隣を見ると既に海王星も破壊されており、空のスプーンを握った息子が頭上で輝く星々を見つめていた。その熱い眼差しで私は悟った。予行練習はここまで。私は息子の手からスプーンを取り、空の星を一つ掬って口に含んだ。そして息子にスプーンを渡す。宇宙破壊者の後継の時、破壊者ふたりは新しい星が生まれたような眩い光に包まれた。
SF
公開:24/05/08 05:17
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超新星爆発
いたりかえです。空想と創造の毎日です。
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