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鬼才と称される外国人のパティシエがあるジェラート店に立ち寄り、レシピを授けた。販売日未定にも関わらず連日マスコミ取材が来ているが、閉店後の店には重い空気が漂っていた。
「サンバdeアイス、か……。踊りたくなるくらい絶品ということか?」
店長がそう切りだしたのは味に納得していないから。なによりパッションが不足している。店員たちも同意見だった。
「改良しますか?」
店長が眉間にシワを寄せていると電話が鳴った。出産間近で里帰りしている妻の母親からで、まもなく産まれるらしい。
耳をそばだてていた店員たちは、もしや産婆に捧げるためのアイスなのでは、とざわめいたが、それ以上に新しい命の誕生に感銘を受けていた。
前祝いのため、誰からともなく試作のサンバdeアイスを口に運ぶ。その瞬間、全員の味覚センサーが上限値を振り切った。
サンバは山場の読み間違いだろうという説に落ち着き、翌日から販売を始めた。
「サンバdeアイス、か……。踊りたくなるくらい絶品ということか?」
店長がそう切りだしたのは味に納得していないから。なによりパッションが不足している。店員たちも同意見だった。
「改良しますか?」
店長が眉間にシワを寄せていると電話が鳴った。出産間近で里帰りしている妻の母親からで、まもなく産まれるらしい。
耳をそばだてていた店員たちは、もしや産婆に捧げるためのアイスなのでは、とざわめいたが、それ以上に新しい命の誕生に感銘を受けていた。
前祝いのため、誰からともなく試作のサンバdeアイスを口に運ぶ。その瞬間、全員の味覚センサーが上限値を振り切った。
サンバは山場の読み間違いだろうという説に落ち着き、翌日から販売を始めた。
その他
公開:24/05/09 18:13
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)
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