透明マジック

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私の親友は子供の頃からの夢を叶えて発明家になった。
ある日新作をお披露目したいと連絡が来たのでさっそく訪ねていった。
「どうだ。すごいだろう」
親友は得意げにそう言うがこざっぱりした机のうえにはなにもおかれていない。離れたところから観察してもやはりなにも見えない。
「私の目がおかしくなければ、なにもないと思うのだけど」
親友は寝不足で充血した瞳をらんらんと輝かせて叫んだ。
「やった! 成功だ! お祝いに寿司を頼もう!」
「いいね」
私が同意すると親友はなにもない机のうえを探り始めた。不思議なことに固形物や紙、金属が床におちる音が聞こえる。やがて親友はがくりと肩を落とした。
「友よ。重大な問題が発生した。俺の発明品である透明マジックで手当たり次第塗りまくった結果がこれだ」
「なるほどね」
「壁には君へのメッセージを書いたんだ」
「やり直しだね」
後日、改めてプロポーズしてもらった。
ファンタジー
公開:24/05/09 08:25

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。

清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選

ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)

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