火鉢の呟き

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私は長い間、古道具屋に売れ残っている火鉢です。
値段は一万円。
私の事など誰も見向きもしません。
貴方にだけ教えてあげましょうか。

私は有名な文豪が大切にしてくださった火鉢なのです。
文豪は亡くなる直前、灰の中に秘密の書簡を隠しました。
書簡は70年経った今でも灰の中です。
その書簡の価値は私の値段の1000倍と鑑定される事でしょう。

そして今日も沢山の観光客が、私のいる古道具屋の前を通り過ぎて行きました。
ファンタジー
公開:24/05/08 17:37
更新:24/05/08 18:10

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